植物ウイルスを媒介する土壌中の菌類について(いま話題の土壌微生物)
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概要
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日本に発生する菌媒介の土壌伝染性ウイルスとして14種が報告されている。すなわち,Olpidium brassicaeが媒介するtobacco necrosis virus (TNV), tobacco necrosis satellite virus (TNSV), tobacco stunt virus (TSV), lettuce big vein virus (LBVV), O. cucurbitacearumが媒介するmelon necrotic spot virus (MNSV), Olpidium sp.の媒介するpea stem necrosis virus (PSNV), Polymyxa graminisの媒介するbarley yellow mosiaic virus (BYMV), wheat yellow mosaic virus (WYMV), rice necrosis mosaic virus (RNMV), soil-borne wheat mosaic virus (SBWMV), P. betaeが媒介するbeet necrotic yellow vein virus (BNYVV), Spongospora subterraneaの媒介するPotato mop-top virus,菌媒介と考えられるが媒介菌の種類が不明のbroad bean necrosis virus (BBNV), Satsuma dwarf virus (SDV)である。媒介菌はいずれも絶対寄生菌で,菌糸はなく遊走子,遊走子のう,休眠胞子の世代をくりかえすが,生活史は菌の種類により若干異なる。また菌により寄生性の異なる分化型がある。菌によるウイルスの伝搬機構には2つの様式がある。1つは休眠胞子中にウイルスは生存せず,ウイルスは遊走子の表面に吸着されて伝搬される場合で,TNV, TNSV, MNSVがOlpidium属菌により伝搬される時みられる。他の1つはウイルスが休眠胞子とともに永続し,これがウイルスを伝搬する場合で,病土は数年間以上病原力を維持し上記以外の菌-ウイルスの組合で起こる。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1987-11-20
著者
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