報道機関紙(誌)からみた医療事故内容に関する研究 : 医療事故情報分析コード表による20年間の分析から

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1989〜2008年の20年間に発生した医療事故について、報道機関紙(誌)上から集計した.1999年以前を前10年,以降を後10年とした.そして,厚生労働省「ヒヤリハット・医療事故情報分析コード表」を用いて分類し,2005年以降は日本医療機能評価機構による集計と比較検討を加えた.1.医療事故例数の年別推移について 1989〜2008年の全医療事故例数は5,698例で,前10年は2,501例(43.9%)および後10年は3,197例(56.1%)と増加していた.経年別の医療事故例数は,1989年の168例から増加し2000年の478例が最多であった.2001年以降は減少し2008年の96例が最低であった.特に,日本医療機能評価機構が医療事故事例の収集を開始した2004年以降では,報道機関紙(誌)に収載される医療事故例が減少していた.2.医療事故例数と医療訴訟新受件数との関係医療事故例数と医療訴訟新受件数との相関関係は,20年間ではr=0.3334 (p=0.151),前10年ではr=0.934 (p=0.000),および後10年ではr=-0.302 (p=0.397)であった.3.全医療事故例の内容について 20年間の内容大別コード上位3位は,「05 治療・処置」(2,663例:前10年 1,382例.後10年:1.286例),「06 手術」(1,306例. 前10年:554例,後10年:752例),「01 与薬・処方」(359例:前10年:119例,後10年:240例)であった.細分化コード上位3位は,「05.03 治療行為不適切」.「06.04 手術処置操作ミス」.「06.03 異物置き忘れ」であった.また,「06.03 異物置き忘れ」は前10年98例から後10年134例「01.01 過剰与薬」は前10年40例から後10年106例.「03.03 接続はずれ」は前10年17例から後10年70例と,原因が明らかな事故事例が増加していた.4.日本医療機能評価機構(JCQHC)による調査との比較 2005〜2008年の4年間における報道機関紙(誌)およびJCQHCの報告例数は722例および5,089例であった.2005年以降JCQHCへの報告が大きく増加したことに起因している.両者において多い項目は「異物置き忘れ」(本研究)と「異物の体内残存」(JCQHC)であった.医療安全元年といわれる1999を境に医療事故例数および内容に大きな変化はみられなかった.報道機関紙(誌)上から,同じ内容の医療事故が繰り返し生じていることが覗えた.同じ医療事故を繰り返さないためには,過去の事例から学ぶことの重要性を自覚し,それらへの対応策が医療事故減少になるものと考えられた.
2012-05-31

報道機関紙(誌)からみた医療事故内容に関する研究 : 医療事故情報分析コード表による20年間の分析から

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