日本における大雪の経年変化とその環境場との関係 : 気象庁と鉄道の日降雪深データを用いた解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,気象庁と鉄道の日降雪深データを用いて,北海道から山陰にかけての日本海側地域と北海道から中部にかけての太平洋側地域を対象に,再現期間が2年以上の日降雪深の大雪の出現頻度について,経年変化とその要因に関する解析を行った.大雪の出現頻度は,北陸では1950年代から2000年代にかけての減少傾向と,1980年代後半における減少側へのジャンプが有意水準5%で有意である.一方で,他の地域では大雪の出現頻度に有意水準5%で有意なトレンドやジャンプは検出されなかった.また,対象地域全ての冬期平均気温,冬季東アジアモンスーン指標(MOI),および北極振動指標(AOI)には1980年代後半にジャンプがみられ,冬期平均気温は対象地域全てにおいてMOIおよびAOIとの相関が有意水準5%で有意である.これから,冬期平均気温のジャンプにはMOIやAOIのジャンプが関係していると考えられる.大雪の出現頻度は,多くの地域において冬期平均気温,MOI,およびAOIとの相関が有意水準5%で有意である.これらの相関は,北陸で高く,他の地域で相関が低いか,相関がない傾向にあり,この傾向が最も強いのが冬期平均気温である.さらに,大雪が出現した日の日平均気温は,北陸では降水が雪と雨になる割合が50%ずつになる気温をわずかに下回る気温領域に集中する傾向が強く,大雪の出現頻度は気温の変化に敏感に応答すると考えられる.これから,北陸における大雪の出現頻度の減少側へのジャンプには,降水が雪と雨になる割合が50%ずつになる気温と地上の気温が近い地域において,MOIやAOIといった大気循環のジャンプの影響を受けた冬期平均気温の上昇側へのジャンプが大きく影響していると考えられる.
- 2012-05-31
著者
関連論文
- 新潟県とその周辺における大雪の出現頻度の経年変化とその気温との関係 : 鉄道駅構内の露場で観測された日降雪深データを用いた解析
- 列車運転規制のためのレーダーエコーデータを用いた冬期寒冷前線に伴う突風に対する警戒基準の開発
- B354 小型ドップラー気象レーダーによる鉄道安全運行のための突風探知システムの基礎的研究 : 最終年度を迎えて(スペシャル・セッション「雷嵐(Severe Storm)の観測的研究」)
- B207 気象レーダの観測値を用いた冬期の寒冷前線に伴う突風の予測について(降水システムI)
- A406 庄内平野に直進性の突風をもたらした気象じょう乱(降水システムIII,一般口頭発表)
- B163 庄内平野における降雪雲に伴う風の特徴(降水システムI)
- P160 高密度地上気象観測でとらえた庄内平野の風速変動の特性
- B167 冬季気象擾乱に伴う地上近傍での強風変動の高解像度モデル解析(降水システムI)
- B164 庄内平野で観測された冬季突風と気象じょう乱について-概要-(降水システムI)
- B205 庄内平野に突風をもたらした気象じょう乱 : 事例解析080108(序報)(降水システムI)
- P159 地表付近における強風の特徴について
- 気象レーダーを活用した突風に対する列車運転規制の試行
- P240 日本の積雪地域における大雪の出現頻度と気温の関係
- B159 日本海沿岸部におけるXバンドドップラーレーダを用いた観測(§2 新たな動き-開発・運用・データ処理技術-,可搬型気象レーダーの現状と将来展望-小規模じょう乱から気候変動の観測まで-,専門分科会)
- B166 2007年12月2日にドップラーレーダーで観測されたmisocycloneの構造(降水システムI)
- 新潟県とその周辺における降積雪量の1927〜2005年の経年変化 : 鉄道駅構内の露場で観測された降積雪量データを用いた解析
- 日本での最近の半世紀における大雨の出現頻度の経年変化
- B206 庄内平野に突風をもたらした気象じょう乱 : 2007年12月2日にXバンドドップラーレーダーで観測されたmisocycloneの特徴(降水システムI)
- C257 小型ドップラー気象レーダーによる鉄道安全運行のための突風探知システムの基礎的研究 : 研究の概要(降水システムIII)
- 関東平野における大雨の空間スケール : 鉄道と気象庁の降水量データを用いた統計解析
- P308 関東平野における1時間降水量の空間代表性
- P150 関東平野における降雨量の空間代表性
- 新潟県とその周辺における大雪の出現頻度の経年変化とその気温との関係 : 鉄道駅構内の露場で観測された日降雪深データを用いた解析
- 日本における2,5,10,30,100年確率雨量を超過する大雨の経年変化
- 新しい地震動指標に基づく列車運転規制基準の検討
- 1976-2000年における日本の大雨の特性変化について
- 高架橋等からのコンクリート片剥落に関する調査研究
- D357 東北から北陸の日本海側地域の年最大積雪深と気温の関係(気候システムIII)
- P182 日本における降水量, 積雪深, 大雨, 及び大雪の気温依存性
- P337 日本における降水量,積雪深,大雨,及び大雪の気温依存性
- D459 新潟県及び山形県西部における降積雪量と大雪の出現頻度の経年変化(降雪・気候,雪氷圏と気候,専門分科会)
- P315 1950-2001年における日本の大雨の経年変化
- 東京都区部における強雨頻度分布と建築物高度の空間構造との関係
- 日本における大雪の経年変化とその環境場との関係 : 気象庁と鉄道の日降雪深データを用いた解析
- 東京都区部における強雨頻度分布と建築物高度の空間構造との関係
- 庄内平野で観測された冬季雷の放電点の鉛直分布と-10℃高度の関連性
- P114 山形県庄内平野の地上電界観測網を用いた発雷予測のためめ積乱雲の電気的特性の解析(ポスター・セッション)
- A156 庄内平野で観測された渦の上陸時の変質 : 渦の傾き増加のメカニズム(降水システムI,口頭発表)
- D151 鉄道における降積雪深観測とデータベース化(気象研究のための気象観測データベースの発表,専門分科会)
- P115 ソフトウェア無線技術を用いた雷放電位置標定装置の開発(ポスター・セッション)
- B115 冬季雷雲における雷放電路と降水コアおよび渦との関係(竜巻・雷,口頭発表)
- B110 多点型地上観測システムでとらえた下層渦の構造(竜巻・雷,口頭発表)
- B109 庄内平野で観測された突風と気象じょう乱 : 渦および渦内部の地上風についてII(竜巻・雷,口頭発表)
- B108 2011年12月22日庄内で観測された突風における地上風の特徴(竜巻・雷,口頭発表)