J. J. ルソーの幸福論と教育論
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概要
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本稿は, ルソーが幸福をどのように捉え, また, 幸福になるためにはどのような教育が必要と考えていたかを考察するものである。彼は, 教育の目的を, 「自然の秩序のもとでは, 人間はみな平等であって, その共通の天職は人間であることだ。……両親の身分にふさわしいことをするまえに, 人間としての生活をするように自然は命じている。生きること, それがわたしの生徒に教えたいと思っている職業だ」(『エミール』(上)31頁)として, 「生きること」と考えた。しかもその「生きること」を「わたしたちの器官, 感官, 能力を, わたしたちに存在感をあたえる体のあらゆる部分をもちいることだ」((上)33頁)と捉えている。このように器官, 能力など個人のもっているものを全面的に活用するということは, 「自己実現」と言い換えてもよいであろう。この自己実現という言葉は, 後に詳しく論述するルソーの「意志と力の一致」を幸福とする考えに通ずる。また, それは, 今日の我が国の教育界においても求められていることに相通ずるものがある。そこで, まず, ルソーの幸福についての考えをもう少し詳しく考察し, 次に, 幸福になるための教育法について考察することにする。その際, 本稿をできるだけ多くの人に読んでもらいたいので, 参考・引用文献は誰もが容易に入手できる図書, すなわち, 岩波文庫版の『エミール』(上・中・下の3分冊)を使用した。また, 引用箇所も, 本文中に文庫版の記載頁を挿入記入した。
- 2012-03-15
著者
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