森林簿情報とリモートセンシング情報などを併用した林分材積の推定
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概要
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本論文は,収穫表もしくは森林調査簿から得られる林分材積を事前情報とし,リモートセンシング(RS)等から推定される現実林分の材積(RS材積)を無作為標本情報とするベイズ型林分材積推定法について研究したものである。研究の主眼は,誤差を含む二つの情報,森林簿材積とRS材積を用いてより精度の高い材積推定法を考案することにある。研究は,大別して三つの部分に分かれる。まず,森林の林班,小班,道路情報などをGISに入力すると共に,数値標高モデルとオルソフォトを作成し,それらを利用して研究対象であるスギ人工林地域を抽出する。次いで,パターン展開法を用いて人工衛星データからパターン展開係数を計算し,この変換されたRS情報と林齢の関係を定量化する。さらに,現地調査データに基づく現実林分材積と林齢の関係を分析し,この二つの関係を組み合わせてRS情報に基づく林分材積推定値を計算する。最後に,森林簿材積を事前情報,RS材積を無作為標本情報とみなして,ベイズの定理を利用してベイズ型の林分材積推定値を得る。事前借報の分散の計算にあたっては,森林簿材積の林齢別変動係数を用いた。事後平均として求められたベイズ型林分材積推定値は,RS材積標本分散の大きいクラスでは森林簿材積に,逆に分散の小さいクラスではRS材積推定値に近くなっている。全体としてみると,それはプロット調査から計算された現実林分の材積に近い値を示した。この結果から,森林簿材積とRS材積を結合した本報のベイズ型の林分材積推定法は,推定精度の面で有効な方法であると考えられる。
- 2005-03-30
著者
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