耐糖能異常患者におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬のアディポネクチン増加を介したインスリン抵抗性改善効果
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概要
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アディポネクチンは、脂肪細胞から産生される蛋白質で、糖尿病のようなインスリン抵抗性を有する病態において低下している。我が国において、糖尿病の罹患率は年々爆発的に増加し、その合併症を予防するためには糖尿病の新規発症を抑制することが重要と考えられる。耐糖能異常患者(IGT)は糖尿病の前段階とされており、将来的に糖尿病に発展する可能性が高い。アンジオテンシンII拮抗薬 (ARB) はIGTから糖尿病への移行を抑制することがいくつかの臨床試験で示されている。最近、ARBによるインスリン抵抗性の機序は、レニン・アンギオテンシン系(RAS)の抑制のほかに新たにアディポネクチンを介する機序が検討されている。すなわち、ARBは血漿アディポネクチン濃度を上昇させ、インスリン感受性を改善させる。糖尿病と高血圧はインスリン抵抗性を病因の基盤として合併することが多く、IGTにおいてはアディポネクチンにターゲットをおいたARBによる治療の重要性が認識された。
- 2012-07-31
著者
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西村 英樹
東京女子医科大学
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西村 英樹/佐中
東京女子医科大学東医療センター内科/東京女子医科大学東医療センター内科・血液浄化部;社会福祉法人仁生社江戸川病院生活習慣病ckdセンター;医療法人社団靭生会メディカルプラザ篠崎駅西口
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