ジョルジュ・サンドとイタリア : 『スピリディオン』とピラネージ幻想
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概要
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イタリアを舞台としたサンドの『スピリディオン』には、ヴェネツィア出身の版画家ピラネージの《幻想の牢カルチェリ獄》を思わせる一場面がある。修道士アレクシは教会の創始者スピリディオンの秘密を知るため、深夜教会の地下埋葬所に階段を降りていく。ゴチック式教会の内陣に彼が見たものは、司祭たちによる殺人であった。この階段のイメージは、ミュッセが翻訳した、ド・クインシーの『阿片吸飲者の告白』中にあるピラネージの《幻想の牢カルチェリ獄》に関する記述と共通している。またミュッセは螺旋階段を下降するピラネージ的幻想を自身の『世紀児の告白』の中に何度も使用している。子供のころ、祖母の書斎でピラネージの版画集を見て以来イタリアに憧れるようになったサンドは、『世紀児の告白』を読んで影響され、『スピリディオン』の階段を下降する場面を描いたのではないか。以上のことを明らかにしてみたい。
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