推論の多義的解釈--認識的モダリティ意味記述のメタ言語
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概要
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認識的モダリティ形式「ようだ、らしい、かもしれない、にちがいない、だろう」等の意味記述には、推論というメタ言語がしばしば用いられてきた。しかし、その概念は定義されているとは限らず、少しずつずれを見せ、相互に矛盾する場合もある。本稿は、認識的モダリティ研究における推論というメタ言語の使用状況を整理し、そのうえで、メタ言語として推論をどのように用いるのが妥当であるか、考察を行う。先行研究において推論というメタ言語は、1)論理的な妥当性を表すための用語として使われる他、2)発話時に新たな認識が得られること、3)根拠とは質の異なる度合が高い帰結が得られること、4)根拠が明示的であること、5)認識に至るための根拠が(明示的ではなくとも)存在することを表すために用いられている。このように推論は多義的であるが、認識結果に対して根拠が存在することを表す点は、すべてに共通している。推論というメタ言語は、このように広い意味で用いるのが妥当であると考えられる。それにより、これまで単に推論と呼ばれてきたものの中に、その性格をさらに明確にする必要があるものが出てくる。これは認識的モダリティ形式の個々の意味記述の精緻化に繋がるであろう。
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