カモシレナイ・ニチガイナイと推論の方向性
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概要
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真偽が定まっていない事柄についての判断を因果関係という観点から見てみると、結果についての判断と原因についての判断とがある。本稿は、真偽判断のモダリティ形式のうち、カモシレナイとニチガイナイを取り上げ、これらの形式が、推論の方向性に関してどのような特徴を持つかを考察する。カモシレナイもニチガイナイも、結果だけではなく原因が推論されたことを表すことができる。しかし、ニチガイナイと比べてカモシレナイは原因推論を表しにくく、その使用には特定の文脈が必要となる。それは、原因を推論していることが焦点化されておらず、推論結果が偶然原因であった場合である。これに対し、ニチガイナイは、推論の方向性に対してとくに何の特徴も示さない。原因推論に特定の文脈を要求することもない。これは、ニチガイナイが希薄な根拠から蓋然性の高い結論を得たこと、すなわち論理の飛躍を伴う非論理的な推論を表示できる形式であるからだと考えられる。
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