P214 Phobos/Deimos着陸探査提案(ポスターセッション口頭2)
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概要
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約10年後に実施されるべきポストMUSES-C計画として、Phobos/Deimos火星衛星の着陸機による内部構造探査を提案する。本提案は、現在インターネット上で有志によって運営されている小天体探査フォーラム(MEF)で議論されている。これまで小惑星の表面に関して、いくつか分光探査や地形に関する研究が行われている。またMUSES-C計画の表面物質サンプルリターンにより、小惑星表層に関しての知見も深まるであろう。これに対して小惑星の内部構造探査は手つかずで、またその予定もない。内部構造探査は小惑星形成物質の真の密度を明らかにし、小惑星の集積・衝突過程に関して様々な知見を与えると期待される。また未暴露の岩石の分光観測、表面レゴリスの粒径及びパッキング(充填様式)の調査により、これまでの表面探査だけからはわからなかった小惑星の進化に関する知見が期待される。そのため、次の段階に於ける小惑星探査として内部探査は重要である。探査対象としてPhobosを提案する。Phobosは既に数多くの表面写真が撮影されてコントロールされた全体形状が明らかで、探査を行うにあたっての位置決定が容易である。また、表面に観測されるグループはスティックニー形成時の開口性破壊面とされ、表面を覆っているレゴリス層の下深部まで伸びていると考えられている。またPhobosは、隕石として入手されていない未知のDタイプの小惑星と考えられており、現地に於けるその場分析、あるいはリソースに余裕があれば、サンプルを地球に持ち帰ることが待たれている対象である。探査手順は以下の通りである。まずPhobos、あるいはDeimosとランデブーするような火星周回軌道に探査機を投入し、Deimosの未撮像領域を撮像する。また、この2つのランデブー軌道上からPhobos/Deimosのリム観測をおこない、両衛星の全球形状を計測する。次に内部構造探査モジュール群をPhobos, Deimos表面に展開する。この内部構造探査モジュールは、各々人工地震波源、地震計、熱流量計、磁気計測器を搭載し、内部の構造、表面熱流量、残留磁化の計測を行う。各モジュールの位置は母船による位置計測により決定する。最後に母船より着陸機を降下させる。この着陸機はグループ等の亀裂から内部を光学的に観察する。着陸機には可動性で任意のグループまで移動する。サンプル採取は可能であれば宇宙風化の進んでいないグループの内部から行う。
- 日本惑星科学会の論文
- 2000-10-31
著者
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秋山 演亮
Department Of Earth & Planetary Science University Of Tokyo
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出村 祐英
Department of Earth & Planetary Science, University of Tokyo
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出村 祐英
Department Of Earth & Planetary Science University Of Tokyo
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