内部統制報告制度における情報システムの意義
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概要
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本稿では,プリンシパル・エイジェントモデルを用いて,「株主が経営者に営業努力と統制努力の自発的発現を促し,かつ,コンプライアンスのための強制監査に対応する」という均衡が存在するための条件を見いだし,その条件下で営業情報システムや統制情報システムがどのような意義を持つかを調べた.その結果,(1)統制努力によって営業努力の私的コストが増大しても,監査コスト基準が十分低く設定されるならば株主に正の期待利得を与える均衡が存在することを確認したうえで,(2)営業情報システムと統制情報システムのノイズに極端な差異がないならば,前者への投資を先行させることが「無難」であること,(3)規制強化が予測される場合,すでに規制の進んだ環境にある企業ほど営業情報システムに投資する効果が期待できること,(4)監査コスト基準の上昇が予測される場合でも,精度のよい統制情報システムを有する大企業株主は,統制情報システムへのさらなる投資によって期待効用の低下を効率的に防止できることを示した.
- 2011-03-31