感情労働の本質に関する試論 : A. R. Hochschildの所論を中心として
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概要
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本稿は,アメリカの社会学者ホックシールド(Arlie Russell Hochschild)が提唱した「感情労働」(emotional labor)にもとづき,その感情労働概念の「本質」について論及するものである.筆者は,これまで秘書研究を通じてホスピタリティやコミュニケーション,アサーション等について研究してきた.すなわち,秘書は,組織の対人関係に介在し補佐機能を作用させてコーディネイト役割を担う.常時,対人関係能力を発揮して人と人を結び組織的機能を果たしている.こうした秘書研究が契機となり,働く人々の「表情」が何をもたらすのか,言い換えれば,働く時の人間の「感情」とは何か,について関心を抱いて来た.そのようなとき,ホックシールドの示す問題意識と筆者の研究動機が重なり,感情労働の「本質」に関する基礎研究を始めた.この研究過程を概観すると,感情労働の事象研究はよくなされているが,基礎研究は必ずしもなされていないことが分かった.そこで,感情労働の先行研究を渉猟し,各種文献から9専門領域を見出し,エッセンス(基幹要因)を導き出した.そして,女史の所論及び各研究領域からの考え方をもとに,感情労働の「本質」と思える根本的11要因を抽出した.
著者
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今林 宏典
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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今林 宏典
川崎医療福祉大学 大学院医療福祉マネジメント専攻修士課程
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佐藤 麻衣
川崎医療福祉大学大学院医療福祉マネジメント学研究科医療秘書学専攻
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佐藤 麻衣
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学研究科医療秘書学専攻
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佐藤 麻衣
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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