ストック・オプション交付条件と投資家行動の関係性 : ストック・オプション訴訟判決に対する市場反応を題材として
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概要
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本研究の分析の出発点となった櫻田・大沼[2010]では, ストック・オプション(以下「S.O.」と略称)の権利行使益をいかなる所得分類とするかについて争った租税訴訟に注目し, 訴訟判決日をイベント日とするイベント・スタディを行った。それによるとS.O.訴訟判決によって市場参加者は規則的に有意な反応を示すことが明らかとなった。本研究は櫻田・大沼[2010]において算出されたS.O.導入企業の累積超過収益率(Cumulative Abnormal Rate of Return: 以下「CAR」と略称)に再度注目する。本研究では当該CARを, S.O.制度導入によって経営者らに付与されたインセンティブに対する市場参加者が抱く期待と解した。そこで本研究は, S.O.を通じて経営者へ付与されるインセンティブの多寡とそれに対する期待を反映するCARは,S.O.制度を導入する各法人のS.O.交付条件の相違に由来すると考えた。つまり各法人のS.O.交付条件そのものを市場参加者は評価し, その結果がCARの違いとなって表れると考えた。その一方で当該CARの多寡は,目標とする株価へ到達することへの経営者に対する期待とも考えられる。こうした視座に立って分析を行うと, S.O.導入企業のCARに影響を与えるS.O.の条件とは, S.O.の行使期間と行使価額であることを本研究は明らかにした。つまり分析結果より, S.O.のもたらすインセンティブについて市場参加者は, その行使期間と行使価額を最重要視するとの示唆を得たのである。
- 2012-03-08
著者
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