金融所得の損益通算制度導入に対する資本市場の評価と投資家行動の分析
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概要
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本稿は(1)平成20年度証券税制改正が資本市場に与えた影響をイベントスタディによって検証し, (2)分析対象法人の財務状況によって当該税制改正報道がそれらの株価に与えた影響の相違を観察している。本稿で注目した同税制改正は, 個人投資家の株式譲渡損と配当所得を相殺可能としたため, 実質的に証券優遇税制として仕上がった。そこで当該税制改正情報の資本市場への投入を契機として, 高配当性向法人が好感されると考えた。なぜなら投資家は株式譲渡損を相殺するためにより多くの受取配当金の確保を必要とすることから, とりわけ高配当性向法人に注目すると考えたからである。追加の分析結果によれば, 高配当性向法人はPBRや流動比率が悪化するほど高評価され, 他方、低配当性向法人は利益成長性が悪化しても固定長期適合率が相対的に高く維持されていれば高評価されていることが判明した。なお, 本稿前段に相当する上記(1)の検討課題は, 筆者が指導する修士院生による研究成果(修士論文)の一部でもある。他方, 本稿後段に相当する上記(2)の検討課題は, 本稿執筆者・櫻田による単独作業として分析結果を導出したことを付言しておく。
- 2013-01-17
著者
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