白内障手術にて発症した駆逐性出血の1例
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概要
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目的:白内障手術にて発症した駆逐性出血を経験したので報告する。,背景:駆逐性出血の発症頻度は白内障手術で0.05-0.2%と低く、重篤ではあるが遭遇することは非常に稀な疾患である。,症例:91歳の女性。高血圧の既往があり、両眼にEmery-Little分類で4程度の白内障と偽落屑症候群があり、左眼の水晶体再建術を行った。術前の左眼視力は(0.03)、眼圧は22mmHgであり、眼底には特に異常所見は認めなかった。超音波乳化吸引術を試みたが術中チン小体断裂があり、眼内レンズ縫着術中に患者が突然の痛みを訴え、それと同時に眼底下方に脈絡膜の隆起を認め、創口より眼内組織が脱出し駆逐性出血を発症した。術翌日は、光覚なく、眼圧は16mmHgであった。前房中は出血塊で満たされており眼底は透見不能であったが、Bモード超音波にて高度の脈絡膜剥離を認めた。その後、徐々に眼圧が25から43mmHgまで上昇し、術後のBモード超音波検査で溶血しているのを確認できた。,発症9日目に強膜開窓術にて血腫を除去し、その後眼圧上昇もなく経過観察中である。,考察および結論:術中に血圧が上昇したこと、患者が高齢であったこと、低眼圧の継続など多くの原因が考えられるが、術中の血圧コントロールや疼痛の緩和、眼圧の維持などで少しでも駆逐性出血の発症を未然に防ぐことが大切であると考えられる。
- 2012-01-31
著者
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内村 英子
東京女子医科大学眼科学教室
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笠置 晶子
東京女子医科大学眼科学教室
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大橋 結香/古谷
済生会川口総合病院眼科/済生会川口総合病院眼科/東京女子医科大学医学部眼科学/東京女子医科大学医学部眼科学/東京女子医科大学医学部眼科学
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笠置 晶子
東京女子医科大学医学部眼科学
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大橋 結香
済生会川口総合病院眼科
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古谷 達之
済生会川口総合病院眼科
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森永 将弘
東京女子医科大学医学部眼科学
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古谷 達之
東京女子医科大学医学部眼科学
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内村 英子
東京女子医科大学医学部眼科学
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