農村の近代化と新農村建設 : 山東省鄒平県の事例を通して
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概要
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改革開放以来驚異的な高度成長を続ける中国は、農業国から工業国への移行過程にある。それにともなって、都市と農村の格差は拡大し、「農業」の低生産性、「農村」の荒廃、「農民」の貧困などに象徴される「三農」問題が深刻化している。その解消のために、2005年以降新たな農村政策として「社会主義新農村の建設」が導入され、「農業強国」をめざしている。本稿は、農村の近代化という世紀の課題へ取り組みの歴史を振り返りながら、今日の「新農村建設」の特徴を指摘する。さらに、山東省鄒平県での現地調査から得た知見に基づいて、新農村建設下の華北農村の近代化と社会構造変動について考察する。今日の「新農村建設」政策では、濃工間および都市農村間の格差の是正が目的とされている。これまでと本質的に異なるのは、「工業をもって農業を補う、都市部をもって農村部を引き上げる」といった方向性が示されている点である。この「都市と農村の一体的な整備」を大きな特徴として指摘できよう。鄒平県の事例において、農業の維持は志向されているものの、工業化がより優先されているといえる。また、都市並みの生活がめざされており。農業また伝統的農家生活からの「脱農」も着実に進んでいる。「新農村建設」は、実質上、工業化と都市化に向かって、めざすべき農村の「建設」ら乖離している。
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