「共同体中心」学校を目指したデューイ実験学校の学習活動の体制とその特色に関する研究
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概要
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本論の目的は,「共同体中心」学校を目指したデューイ実験学校が,その理念を学習活動においてどのように具体化したのかを明らかにすることである。まず,実験学校は,当時主流となっていた学年学級制の弊害を克服すべく,「小型の共同体」・「萌芽的な社会」としての学校の実現を図った。こうした学年学級制に置き換わるものとして,実験学校ではグループ別活動体制が導入された。このグループは「クラス」とも呼ばれ,個々の子どもが参加すべき共同体ないし協力的なグループとして位置づけられていた。「クラス」には「リーダー」がいて,その責任は,教師に依存せずに日常の学習活動を遂行することであった。また,教師同士の協同関係も構築されていた。そして,リーダーによって子どもたちが自主的・自律的に学習活動を行う「クラスルーム法」を活用することで,実験学校では,「協力的精神」としての「クラス精神」の寛容が図られた。こうした「クラス」による教育実践の特色は,(1)「個人的および社会的諸要因の調整ないし均衡」がクラスとしての活動にも反映されていたこと,(2)「クラス」が「民主主義」を志向した共同体だったこと,である。また,こうした実践の課題は,(1)共同体としての「クラス」が,ほぼ同年齢の子どもたちで組織されていたこと,(2)子どもたちと教師たちとが政治的もしくは知的に同等な存在として扱われていなかったこと,である。
- 2011-03-31
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