社会科のアーギュメンテーション研究 : 一斉授業における教師"リヴォイシング"の社会科方略的分析
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概要
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本小論の目的は,一斉授業の社会科実践におけるアーギュメンテーション(理由付けの主張/それら主張のやりとり)として教師と子どもの対話的な相互作用に照射し,指導計画に意図された社会認識形成を成立させるための教師処遇を解明することである。本小論では近年のアーギュメンテーション研究の成果及びその一つ「リヴォイシング(再声化)」に着目し,1)従前の社会科研究は,拠って立つ社会科の授業原理について,教師と学び手による対話的交渉の検証を経た明確な指導方法の確立に至っていない,2)「首尾よくコミュニケーション連続がなされたか」に関する教育一般の教室談話研究の成果は,配慮すべき教師の構えではあるが社会科の方法とは言えない,それぞれの問題点を析出した。これらを克服すべく,典型的な社会科授業原理ごとに教師の処遇すべき社会科方略としてリヴォイシングを4類型化し,特に「説明」型について,教育実習生とベテラン教師による同一授業比較分析から,その有効性を検証した。その結果,1)視座を確定するための,俯瞰,非人称化,非日常の立場/方法を提示,学問成果の活用,数値化,反証可能性の減少,2)視点を取得するための,因果の2事象注視,3)視野を出力するための,因果律/概念の説明力が及ぶ範囲の限定,などが有効であることを明らかにした。
- 2011-03-31
著者
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