環境自治のしくみづくり : 正統性を組みなおす(<特集>環境政策と環境社会学)
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概要
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広義の「環境政策」のかなめは,地域住民がどう地域の環境を保全していくのかという「環境自治のしくみ」を考えることである。この論文では,札幌市の事例を参考にしながら,「環境自治のしくみづくり」のポイントとして,「所有権の相対化」,「担いのしくみの再形成と正統性の組みなおし」,「試行錯誤を保証する調整のしくみ」,という3点を考察する。所有権の相対化とは,所有権者への異議申し立てや環境への具体的なかかわりなど,所有以外のさまざまな営みを複合的に行うことである。そのことはつまり,誰が地域の環境へのかかわりや計画・管理を担っていくのかという担いの正統性を組みなおすということである。正統性の組みなおしには,状況によって,「正統性を争う」という方向と「正統性をともに作りなおす」という方向の2つが考えられるが,いずれの場合も,「市民調査」が重要な役割を担う。また「正統性の組みなおし」においては,環境保全を担ってきた/担う意志のある「有志」を尊重するということが原則となるが,その「尊重」の後ろには,「有志」と「人びと]の間の動的な関係がある。さらに,人びとと環境とのかかわりは一様でないので,それらを調整する必要がある。その調整のしくみは,その地域の歴史と現状に合わせた多様なものであってよいが,「試行錯誤を保証する」という原則が重要である。
- 2001-10-31
著者
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