骨盤底筋協調運動障害を呈する便排出障害型便秘症に対する直腸バルーン排出訓練によるバイオフィードバック療法の効果に関する検討
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概要
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【目的】便秘症のうち骨盤底筋協調運動障害に起因する便排出障害に対しては,バイオフィードバック(以下,BF)療法が有効とされる.今回,この病態に対する直腸バルーン排出訓練によるBF療法の効果に関して検討した.【方法】2008年9月〜2009年8月に便秘を主訴に当施設を受診した152例のうち排便造影検査で骨盤底筋協調運動障害を呈したのは43例であった.その中で直腸バルーンを用いたBF療法を施行した21例を対象に,その臨床背景と治療効果を検討した.治療効果は,便秘症状をmodified Constipation Scoring System(mCSS:症状なし0点-最悪26点)で,生活の質をPatient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire(PAC-QOL:最善28点-最悪140点)で評価した.また,受けた治療に対する満足度を5段階で評価した.【結果】21例の年齢は中央値70歳(範囲:62〜80歳),男性17例であった.mCSS中央値は,初診時12点(6-17点)がBF前には9点(3-18点)と有意に改善し(P=0.013),BF後も8点(3-17点)と改善傾向を示した(P=0.08).PAC-QOL中央値は初診時84点(範囲:39-131点)がBF前には66点(41-130点)と改善傾向を示し(P=0.053),BF後は50.5点(33-123点)と有意に改善した(P=0.0005).治療に対する満足度は,「非常に満足」7例,「かなり満足」6例,「満足でも不満でもない」6例,「あまり満足していない」1例,「全く満足していない」1例で,「満足」と回答したのは13例(61%)であった.【結論】骨盤底筋協調運動障害を呈する便排出障害型便秘症に対して直腸バルーン排出訓練によるBF療法を施行すると,症状は改善傾向を示し生活の質は有意に改善した.今後は更なる成績向上を目指して,肛門筋電計を用いた筋弛緩法とBF専用コンピューターソフトウエアーを使用した真の意味でのBF療法を行なう予定である.
- 2011-04-25
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