数学理論に対する個別超準化法III
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論においては、実数空間R上の位相を、また実数関数の微積分を、集合族や関数族の超準化というものを用いない範囲内で、超準解析により構成する。その際、予備知識として必要となるのは、超フィルターに関するかんたんな知識のほか、 IIであつかわれた局所性質補題である。こうして位相の理論と微積分の理論を、`記述の超準解釈'、`現象の超準化'といったことがらだけを用いて組み立てる。われわれの目的は、無限大自然数や無限小実数の数学理論-の導入がいかに合理的に行なわれるか、また、それが理論の中でどのように効果的に働くかを示すことにある。ここでの超準解析の導入方法は、つぎのようなものである。(1)はじめに、一つの数学理論をふつうに記述する。つぎに、そこで用いられている数学的対象をすべて超準化する。そのとき実数の超準化である超実数は、実数の列と定義する。その他の数学的対象も、同じく対象の列として超準化する。(2)通常の実数集合や実数関数は、この超準化を通してそれぞれ超実数の集合や超実数の関数へと拡張されるが、その結果、集合や関数を用いて記述された通常の概念や理論も、超準世界における一つの概念や理論として拡張解釈して読むことができる。このように一つの文を広狭二通りに読み比べるとき、超準化された自然数概念の中には無限大自然数が、超準化された実数概念の中には無限小実数がそれぞれ含まれるので、 "超準解釈"された理論においては、解析の手段やイメージが通常よりも豊富になっている。(3) 1点pのある近傍内で成り立つ局所的なことがらP(x)があるとき、それをpの無限小近傍における現象*P(ξ)へと書き換える。無限小解析の結果、点p を包む無限小世界での現象*Q(ξ)が記述できると、それは実際に、 pを中心とするある近傍内での通常の現象Q(x)として出現する。このことを、局所性質補題が保証している。
- 龍谷大学の論文
- 2009-09-30
著者
関連論文
- 超準解析による実数論
- 数学理論に対する個別超準化法I
- 数学理論に対する個別超準化II
- 数学理論に対する個別超準化法III
- 数学理論の帰納的超準化法 : 超準解析理論の新たな構成法(?)
- 数学理論の帰納的超準化法 : 超準解析理論の新たな構成法(1)
- 無限小領域における特異現象の解析に威力を発揮する超準解析学
- ノンスタンダード・アナリシス(Nonstandard Analysis)