超準解析による実数論
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概要
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近代における解析学の発展は実数に関する理論の完成を促し([1],[2])、実数概念は現代数学の基礎となっている([3],[4],[5])。代表的な実数論には、有理数の基本列を用いたCantorの理論([1],[3])と、有理数の切断を用いたDedekindの理論([2],[3])があり、両者は同値([3])である。このほか、公理系を用いて実数体を規定するHilbert流の実数論([3])もある。Abraham Robinsonよる創始後40年をかぞえる超準解析([6],[7],[8],[9],[10],[11])も実数論とかかわりがあり、超準解析を用いた実数論が、すでにMartin Davis([10])によって述べられている。本論においては、無限小数という概念を基礎に、超準解析を用いた新たな実数論の構成を試みる。実数は、現に同値類や切断としてよりも、むしろ無限小数としてあつかわれている。それにもかかわらず、これら無限小数間に直接加減乗除を定義しようとすると、余りの煩瑣のため目的を達しない。そのとき、超有理数体Qを理論の土台に据え、非手つづき的定義を用いるならば、構成はほとんど自明となり無限小数がもつ難点が解消される。このように超準解析は実数に対する自然なとらえ方、あつかい方に理論的根拠を提供するものであり、本論は'超準解析が可能とした無限小数による実数論'といっていい。本論はまた、これが超準解析を体験する最短のコースの一つとなることを、期待している。
著者
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