里親のソーシャルサポートと情緒的疲弊に関する実証的研究
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概要
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本研究は,今後の里親支援の指針を得ることをねらいとして,北海道の里親のソーシャルサポートの現状を明確化し,その高低が里親の情緒的疲弊にどのように影響するかを考察することを目的とした.調査対象は,札幌市を除く登録里親全数472名に対し自記式質問紙を用いた郵送法を実施した.単変量解析で有意差(P<0.05)がみとめられた項目について,多変量解析を実施したところ,家族カテゴリーでは「会うと心が落ち着き安心できる人」「甘えられる人」,児童相談所カテゴリーでは「自分の気持ちや秘密を打ち明けられる人」「気持ちの通じ合う人」の項目で有意差(P<0.05)がみとめられた.さらにこの4項目による多変量解析を実施し,オッズ比を算出した.児童相談所カテゴリーの「気持ちの通じ合う人」の1項目の独立性の高さが示唆され,オッズ比も正の値であった.このことから,情緒的疲弊の高低に最も影響を与えた項目は,児童相談所の「気持ちの通じ合う人」であり,児童相談所は里親制度における役割が大きく,本研究はこのことと合致する結果となった.
- 2011-03-31
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