聴覚事象関連電位による構文再解釈の神経機構の研究(聴覚と福祉情報工学,一般)

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概要

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• 言語処理を扱った過去の事象関連電位(ERP)研究において、意味的に逸脱した文に対してはN400成分の増大が、また統語的に逸脱した文に対してはLAN(ELAN)成分やP600成分の増大が確認されている。袋小路文は構文再解釈を求められる点において統語的に高負荷な文であり、これまでの研究において主にP600様の陽性成分の増大が観察されている。しかしこれまでの知見の多くは視覚呈示により語句ごとに袋小路文を提示したときの脳波において得られたものであり、連続的な発話理解時のERPについては共通した見解が得られていない。本研究では日本語袋小路文を聴覚的に被験者へ与えたときの脳波を計測し、発話理解における構文再解釈の神経機構を調べた。先行研究では再解釈を引き起こす語句(ターゲット)の呈示直後にN400成分やP600成分が増大しているのに対し、本研究ではターゲット呈示直後の変化については確認できなかった。他方、刺激文終了後の脳波を比較すると、袋小路文を呈示した場合のみにおいて、前頭中心部や中心部での陰性および陽性成分の有意な増大が確認された。本研究結果から、構文再解釈による発話理解の更新に関連した脳活動は、文全体の知覚後においても現れる可能性が示唆された。

• 2011-02-11

著者

• 堀川 順生

  豊橋技術科学大学大学院工学研究科

• 堀川 順正

  豊橋技術科学大学 大学院工学研究科

• 杉本 俊二

  豊橋技術科学大学大学院工学研究科

• 塚原 伸亮

  豊橋技術科学大学大学院工学研究科情報・知能工学系

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