C-2 マネジメント能力開発の新機軸 : 主体の思考様式に焦点をあてて
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概要
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従来から、マネジャーの能力開発は、企業にとって重要な課題である。しかし多くの企業では、有効なマネジメント能力開発の方法を見出せていないように見える。本稿では、従来型ではカバーできていない、今後のマネジメント能力開発のあり方について検討していきたい。日本企業における90年代の人材育成を見ると、「企業内教育の失われた10年」ともいえる、教育研修費の削減、教育の自己責任化が進んだ。現在でも、失われた10年はそのまま継続しているといわざるを得ない。ここにはマネジメント能力の開発上大きく二つのダメージが考えられる。ひとつは関係性という視点を入れたダイナミズムが欠落していていること、ふたつには経験という貴重な学習資源が活用されていないことである。このふたつは、マネジメント育成の王道として君臨してきたMBA教育にも共通するといえる。Mintzberg(2004)は、経験をもたず、ケーススタディーに偏る、従来型のMBA教育を激しく批判している。そこで提案される、独自のプログラムがIMPMとなる。そこでの学習理念は、マネジャーのありのままの経験を五つの思考様式に沿った理論に照らし合わせて内省するというものである。五つの思考様式とは、行動、分析、内省、協働、広い視野、である。筆者は、2008年より本プログラムの日本での展開を行っている。本稿では実際のファシリテーションから得た知見をもとに、マネジメント開発について検討した。プログラムの中で、マネジャー同士が、日々の経験を持ち寄り、五つの思考様式に対応したマネジメントの理論に照らし合わせて内省する。さらに内省から得た気付きを、マネジャー同士の共有とフィードバックで深め、意味を紡ぎ出し、洞察を導き出す。自ら導き出した洞察は、自発的な行動を生み、次なる経験につながる。結果として、この循環プロセスを通じて、実務にインパクトを与え、自然な形でマネジメント同士の関係性が育まれていった。従来型とは明らかに異なる、関係性と経験が生かされたマネジメント開発の効果を、はっきりと確認することができた。
- 2011-06-17
著者
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