A-2 不透明な時代のリーダーシップ開発 : 対話と会話に着目して(自由論題)
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概要
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今までの延長線上にない、質の異なる変化が加速し、先行きを見通すことが困難な中、組織におけるリーダーシップの重要性や期待が増している。経営者に助言する立場の筆者も、組織においてリーダーシップを発揮する人員がひとりでも多く欲しい、という声を度々耳にする。目々組織の中で悪戦苦闘するものにとっては、いかに開発し、現場で発揮するかという実践面が重要かつ緊急の課題である。よって本稿では、理論的な整理、統合ではなく、いかに発揮する人材を開発するか、リーダーシップ理論の中でも実践面に焦点を絞りリーダーシップ開発について検討する。本稿では、不透明な環境下におけるリーダーシップ開発において、経験からの学習が重要であると考えた。なぜなら、変化が常態化し不確実性の高い中では、唯一絶対の"正解"はないからである。自らの経験を省察し、学習に結びつけることが肝要であろう。成功や失敗から自らが学び続けることと、併せて組織全体の学びを促進することがリーダーシップにとって重要であるとの仮説を立てた。よってリーダーシップ開発における省察の位置づけと、個人の省察に加え、省察を共有することの効果について検討した。共有するにはより効果的なコミュニケーションが重要なことは明らかであろう。そこで方法論としての対話と会話に着目した。具体的には、まず鍵概念の対話と会話について整理した。対話の目的志向、会話の継続指向の組み合わせの重要性を確認した。次にリーダーシップ開発の事例を取り上げ、分析を試みた。事例は、規制が撤廃され今までにない競争状態にさらされている企業の開発過程である。結果として省察がリーダーシップ開発において重要な出発点になることが確認できた。そして省察を対話と会話によって共有することが、より豊かな気付きをもたらし、リーダーシップ開発の鍵になることが分かった。つまり、省察、共有、気付き、応用のサイクルによりリーダーシップ開発が継続的に進むのである。注目すべきは、対話と会話が学習するコミュニティの醸成に貢献することも見て取れたことである。また長期的には組織文化の変容も期待できると思われる。つまりリーダーシップ開発が組織開発に拡大する可能性が見えた。今後はプログラム終了後の経過についてインタビューを実施し、追加の調査を行い、より効果的なリーダーシップ開発について検討を続けたい。
- 2010-06-25
著者
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