シイタケ菌床栽培における殺菌剤チアベンダゾールの添加効果
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概要
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法定基準濃度(0.012%W/W)を含む種々の濃度の殺菌剤チアベンダゾール(TBZ)を添加した菌床培地によるシイタケ栽培試験と子実体中の薬剤残留について検討した.無滅菌培地によるシイタケ栽培試験(試験1)では,TBZを1.2%添加してもシイタケの生育は見られなかった.滅菌した菌床による試験(試験2)では,TBZを0.12%〜1.2%TBZ添加した培地では無添加に比べてシイタケの生育に遅れが見られた.滅菌菌床にシイタケとトリコデルマを同時接種した試験(試験3)では,TBZ0.0012%以下の添加ではトリコデルマが生育し0.012%〜1.2%濃度培地ではシイタケが生育した.1.2%添加培地ではシイタケ菌床の褐変が遅れ,無添加区よりやや高いpHを示した.高TBZ濃度培地では,90日の培養日数では菌床は熟成しなかった.1回目の子実体発生は,0.12%〜1.2%TBZ添加培地では無添加培地より遅れた.試験2および3の同濃度TBZ添加の比較では,試験3の栽培で子実体発生が試験2より遅れた.0.12%濃度の試験2菌床からの1回目の収穫量は無添加より少なかったが,総収量は薬剤無添加菌床と差異がなかった.しかし,TBZ1.2%添加菌床の収穫量は1回目および総収量とも減少し,無添加培地の1/6であった.TBZ添加濃度を増加した菌床では,子実体中の薬剤残留濃度が増加した.様々な栄養剤およびシイタケ品種による栽培試験では,子実体基準濃度(0.012%)添加による栽培では,子実体中のTBZ濃度は環境庁農薬登録保留基準値以下を示した.無添加菌床で1回目の子実体を収穫した後に0.012%TBZ水溶液で浸水処理して子実体発生させた場合でも,子実体中のTBZ濃度は保留基準値より低値であった.
- 日本きのこ学会の論文
- 1999-04-25
著者
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