2050年の日本 : フィリピーナの夢をめぐる人類学的想像力(第5回日本文化人類学会賞受賞記念論文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2050年の日本はどのような社会だろうか。現在の少子高齢化傾向が続くと、日本の人口は2050年までに2009年現在の1億2,751万人から9,100万人程度まで減少すると予測されている。また65歳以上の高齢者人口が占める割合は2055年には40%を越えるという。これは人類がかつて経験したことのないようなウルトラ高齢社会の到来を意味する。こうした人口構造の変化のなかで、日本は現在の経済力を維持するだけでも大量の労働力を海外から「輸入」する必要があり、その結果2050年には1,000万人の移民(2008年末の外国人登録者数は約222万人)をかかえる国家になっているとする予測がある。これは日本が多民族・多文化国家に向かうシナリオである。この論文では、2050年の日本に向けて、人の移動という観点から、日本版の多文化主義とも言われる「多文化共生」について批判的に論じた後で、フィリピーナの夢をめぐって想像力を働かせつつ、人権や市民権について考察を加える。さらに、草の根的に現れてきている「新しい公共」に人類学を結びつけることを通して、日本における公共人類学の構築を提案する。そうしながら、未来に向けた歴史人類学を構想する。
- 2010-12-31
著者
関連論文
- 文化人類学における視聴覚教育の可能性 : CD-ROM版「『楽園』の創造 : バリにおける観光と伝統の再構築」によせて
- Michel Picard; and Robert E. Wood, eds. Tourism, Ethnicity and the State in Asian and Pacific Societies. University of Hawai'i Press, 1997, 259p.
- 太田好信著, 『トランスポジションの思想 : 文化人類学の再想像』, 京都, 世界思想社, 1998 年, 284+33 頁, 2,400 円
- バリ島プンリプラン村観光開発の最前線
- 第92回アメリカ人類学会年次大会
- 書評の政治学? : 中村光男氏の書評に応える
- 関東地区研究懇談会 NEWSLETTER No.10
- 「劇場国家」から「旅行者の楽園」へ : 20世紀バリにおける「芸術-文化システム」としての観光
- 関東地区研究懇談会NEWSLETTER No.5
- 波平恵美子著, 病むことの文化 : 医療人類学のフロンティア, 東京:海鳴社, 1990年, viii+目次+342頁, 2884円
- 関東地区研究懇談会NEWSLETTERについて
- 死・葬制 : 4100
- 美術・陶芸・社会人類学の価値観について : 日本の陶芸を人類学的に観察する(外から見た日本)
- 中根千枝著, 『社会人類学 : アジア諸社会の比較』, 東京大学出版会, 1987 年, iii+317+7 頁, 1,900 円
- ウジュン・パンダンのトラジャ社会 : インドネシア地方都市研究(インドネシアの都市人類学)
- 水田ミナンガ : サダン・トラジャの一枚の水田をめぐる社会人類学的覚書き
- サダン・トラジャ族の死者祭宴--ネ・レバン氏の場合
- トラジャ・フィールド・ノオト
- 2050年の日本 : フィリピーナの夢をめぐる人類学的想像力(第5回日本文化人類学会賞受賞記念論文)
- エコツーリズムの政治経済学--マレーシア・サバ州のケースから (特集 エコツーリズムの展望 楽園への道) -- (あらかじめ知っておきたいこと)
- グローバル化の中の観光まちづくり : 震災後も視野に入れて観光人類学の視点から考える