上方・大阪語における接続詞的用法ソレナラ類の推移
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
上方・大阪語の接続詞的用法ソレナラ・ソレデハ・ソレヤッタラ・ソウシタラがどのような推移を経て今日の併存状況に至るのか、条件表現全体の歴史との比較、江戸・東京語の状況との比較を軸に検討した。その結果、次の二点が判明した。(1)近世中期にソレナラ一色だった段階を経て、ソレヤッタラ・ソウシタラが、条件表現の体系的推移であるタラの拡大と連動して発生・発達をすること。(2)ソレデハは、条件表現体系のありようとは無関係に、江戸・東京語の影響の下で使用され始めること。これらの接続詞的用法の推移には、上方・大阪語が地域語となるに及び、標準性・書きことばと連続する意識が稀薄化したことによって、上方・大阪語としての特性を発揮していく側面((1))と、中央語として勢力を強める江戸・東京語から影響を受ける側に回ったことを示す側面((2))とがうかがえる。その意味で、ソレナラ類の変遷は、上方・大阪語の近世以降の立場の変化を象徴的に表すものと言えるのである。
- 日本語学会の論文
- 2010-10-01
著者
関連論文
- 形容詞・打消の助動詞を受ける条件句 : 近世中期のあり方をめぐって(岡本勝教授退官記念号)
- 近松世話浄瑠璃における指定表現 : 詞章内の使用状況の推移から
- 一八世紀初頭上方文献における意志・推量の助動詞の諸形式の用法
- 天草版平家物語における反語表現 : 古典平家物語との比較を通じて
- 坂梨隆三著, 『近世語法研究』, 2006年11月20日発行, 武蔵野書院刊, A5判, 444ページ, 13,000円+税
- 天草版平家物語における打消推量・打消意志の助動詞 資料性との関わりを中心として
- 「言海」における異名(一)
- 外から/外への近世語研究(日本語学会2010年度春季大会シンポジウム報告)
- 上方・大阪語における接続詞的用法ソレナラ類の推移
- 高梨信乃著, 『評価のモダリティ-現代日本語における記述的研究-』, 2010年6月12日発行, くろしお出版刊, A5版, 258ページ, 3,800円+税