テクノ・パブリックの時代 : ハイテク大衆化文明における科学技術倫理と消費者倫理
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概要
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産業革命以降,科学技術が社会に与える影響について様々に論じられてきた。その初期の議論の多くが,科学技術が労働環境に与える影響を論じるものであった。経済学者のマルクス,人類学者のルロア=グーラン,社会学者のマートンらが,それぞれの視点から工場における人間の労働のあり方の変化を,機械との関係から論じた。彼らが協調したのは,機械の登場によって,労働者の技能が軽視されるようになり,労働者が道具の支配者の地位から機械の臣下の地位へ転落したという論点であった。最新のハイテク機器が消費財として流通する現代にあっては,科学技術が社会に与える影響を論じるためには,労働環境の変化のみならず生活環境の変化にも注目しなければならない。本論では,技術製品が誕生し生活環境を変化させてきた過程を振り返り,技術製品が社会集団の世界認識や生活形式に大きな影響を与えるようになった点を強調する。技術製品に媒介されて,無自覚的に世界観や生活形式を共有するような集団を,本論では「テクノ・パブリック」と呼び,彼らの特性が詳しく検討される。その上で、技術製品市場を健全に機能させるための条件として、科学者や技術者の論理のみならず消費者(テクノ・パブリック)の倫理が必要であるという点が論じられる。
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