両大戦間期イギリスの空間のジャポニスムにみる生け花・盆栽の影響 : 『ステューディオ』誌の検証を中心に
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概要
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本稿では、モダニズム期イギリスにおけるジャポニスムを照射するために、空間デザインと植物の表象、とりわけ生け花と盆栽の影響について考察する。まず日本の空間デザインや植物配置がイギリスのデザイン界に与えた影響について概観する。次に、20世紀に入り、日本側から空間デザインのあり方を海外へ発信した例として、『ステューディオ』誌に原田治郎ほかが寄稿した日本の空間デザインおよび生け花、盆栽に関する記述を検証し、続いて万国博覧会での日本による展示にみる空間デザインの意識の強化を確認する。それから、『ステューディオ』誌のなかで、「日本」と銘打たれないまでも日本的な室内装飾や生け花、盆栽が海外のアーティストによってさまざまに応用されていた事例を抽出し、それがひとつの「スタイル」としてモダンな空間デザインのなかで活用されていたことを確認する。以上から、一方でイギリスにおけるジャポニスムがモダニズムをイギリスに取り込む裏道となり、他方で政治的対立の強まる日本の表象を利用するにあたりモダニズムが隠れ蓑になっていたという、イギリスにおけるモダニズムとジャポニスムの双方向性を浮き彫りにする。
- 2010-11-30
著者
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