創造性と持続可能性 : ホワイトヘッドの文明倫理学
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概要
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有機体と環境との創造的で調和的な関係牲をプロセスとして思索する形而上学的思弁こそ、ホワイトヘッド哲学の中心的な課題である。そこには、流転する創造的世界の中で安定した秩序はいかにして維持されうるかという問いと、実現された秩序の反復的な存続という保守的な趨勢の中でいかにして創造的な新しさが導入されるかという問いがある。そこで探求されるのは、達成された調和を受けつつも既存のものを超え出て新しい価値を実現する創造的なアクチュアリティと、その躍動の中で新たに実現されたものを受けて重厚な豊かさを増す全体の調和という実在のあり方である。ここには、J.B.カブが危惧した「成長のイデオロギー」のグローパルな展開と、新たに提唱されている「持続可能性のイデオロギー」との対立を超え、両者を包摂し現代文明社会を教導する文明の倫理的原理となるものが示されている。この論文では、ホワイトヘッドの有機体の哲学が示した創造牲と調和的秩序のコントラストという有機体のあり方が、文明社会において実現されなければならないことを提唱し、そのことによって文明社会は一つの有機体として、すなわち「生きている社会」として、創造的に前進する世界における価値実現の焦点となることを示した。
- 2010-12-20
著者
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