青年期統合失調症患者の生きにくさと看護援助の方法 : 自我強化に焦点を当てた看護面接を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は、地域生活を営む初発の統合失調症患者に対して、自我強化に焦点をあてた看護面接を実施し、寛解期以降の生きにくさの本質と、看護面接の構造を明らかにすることを目的とした。対象は青年期の初発の患者3名である。面接は精神科看護経験3年以上の面接者3名が、生活体験を自我にフィードバックすることを主眼に行った。面接記録から生きにくさの本質と面接方法を質的に抽出し、カテゴリー化した。その結果、対象の生きにくさとは、【病気の本態に関連する生きにくさ】に対して【病気である自分に対する思い】と日々格闘しながら【他者との間で葛藤】し、【日常生活の制約】を強いられるという相互関係があった。またそれが、自己を確かな者と感じることを妨げており、その【不確かな自己】がさらに生きにくさを助長する構造をなしていた。面接者は迷いや限界、自分の傾向性をはじめ、患者の可能性に気づく体験をしており、最終的には【患者の鏡になる】役割を果たしていた。
- 日本精神保健看護学会の論文
著者
-
北村 育子
五稜会病院
-
阿保 順子
五稜会病院
-
阿保 順子
北海道医療大学看護福祉学部
-
八木 こずえ
五稜会病院
-
鈴木 麻記子
北海道医療大学
-
坂井 美加子
五稜会病院
-
北村 育子
北海道医療大学大学院看護福祉学研究科博士後期課程
-
阿保 順子
北海道医療大学
-
北村 育子
北海道医療大 大学院看護福祉学研究科
関連論文
- 復職支援のためのケア : 急性期病棟から自宅へ退院する患者へのケアと専門看護師の行うケア
- 看護における"言葉にならない技術"論--技術と判断について (日本版特集 言葉にならない技術の共有・伝達・創発--暗黙知の学際的検討)
- 認知症高齢者の世界 : 虚構を生きる(生体反応3, 第49回日本歯科理工学会学術講演会)
- 統合失調症の人々の看護はどこまでわかってきたか (特集 精神分裂病の終わり/統合失調症の始まり)
- 認知症の人々が創造する世界 : 自己意識からの解放という第二の生き方
- 看護学における身体論の位置
- 基調講演 精神看護の近未来--二極化現象を超えて (第14回日本精神保健看護学会学術集会)
- 高齢者の声を聴く--幸せな生活を実現するために私たちができること 援助の視点--認知症高齢者の世界へのかかわり
- 看護の中の身体--対他的技術を成立させるもの (特集 身体の可能性--看護的身体論序章)
- 特別記事 精神看護の現在地--日本の精神看護は何に直面しているか,その責任と苦悩
- 精神看護援助の視点から捉えた人間の精神構造 : 自己と自我の観点から
- 暗黙の了解が実践知に至る階段
- 青年期統合失調症患者の生きにくさと看護援助の方法--自我強化に焦点を当てた看護面接を通して
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程とかかわり(第3報)思春期の発達課題を抱えていたA子さんのケース
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程と関わり(第2報)再発に至った青年期ケースの結果分析
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程とかかわり
- 医療・福祉従事者に望まれる「性格」とその育成
- シンポジウム2 人権と尊厳を守る看護職の責務--相手を人間として尊重するということ (第31回日本看護研究学会学術集会--プログラム及び内容要旨)
- 「辛抱強く変化のときを待つ」というかかわり--思春期病棟における看護師の役割 (特集 思春期・青年期をみんなで見守る)
- 地域連携クリティカルパス構築への専門看護師の取り組み--パス活用による精神科看護師のエンパワメント (特集 地域連携を支える看護職の役割)
- シンポジウムのまとめ(患者の意思決定と家族の役割)
- いのちを看まもる看護
- 一般演題I B-4 病院リハビリテーション(4) 質疑討論
- 精神看護の近未来 : 二極化現象を超えて(第14回日本精神保健看護学会学術集会)
- 急性期精神科看護における「かけひき」の様相
- 精神科クリニカルパス批判--市場原理の徹底化への動き (特集 こころの病いはクスリで治せるか--精神医学産業の現在) -- (第3部 精神医学産業の現在)
- 精神看護 (臨床看護 研究文献SELECTION(2000年1-12月))
- 青年期統合失調症患者の生きにくさと看護援助の方法 : 自我強化に焦点を当てた看護面接を通して
- 精神看護専門看護師に必要とされる役割・機能・臨床能力(2)復職支援のためのケア/急性期病棟から自宅へ退院する患者へのケアと専門看護師の行うケア
- 当事者の視点に立つということ--痴呆老人が創造する世界
- 質疑討論
- 病いの中に意味が創り出されていく過程 : 精神障害・当事者の語りを通して、構成要素とその構造を明らかにする
- 身体の諸相--「身体」に関する最近の論考を概観して (特集 身体の可能性--看護的身体論序章)
- 虚構に添うケアを-認知症の人々から見える世界
- 長期入院と社会復帰1 質疑討論
- 身体は誰のものか?--ヒト・人・人間 (特集 消費社会と身体--精神・身体・脳・DNAを科学する)
- 新種うつ病の様相と看護アプローチの模索 (特集 うつ病論--双極2型障害)
- 地域生活に移行した統合失調症患者の生活体験 : 初発者と再発者の比較を通して
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程とかかわり(第3報) : 思春期の発達課題を抱えていたA子さんのケース
- 看護学における身体論の位置
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程と関わり(第2報) : 再発に至った青年期ケースの経過分析
- 統合失調症患者の早期退院後における自我強化の過程とかかわり
- 当事者の視点に立つということ : 痴呆老人が創造する世界
- 虚構に添うケアを : 認知症の人々から見える世界