遷急線によって規定される山地斜面のブナの分布域
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.亜高山帯の最下部に位置する長野県梓川上流域に点在するブナ林冠木の分布図を空中写真判読と現地調査から作成し,その特徴を地形・地質条件との関係から検討した. 2.ブナは花崗岩地域と,中生界堆積岩地域のうち花崗岩に接する場所に分布し,また山腹斜面の遷急線より下方に位置する崩壊性斜面,崖錐,沖積錐に偏在していた. 3.遷急線は後氷期開析前線であると推定され,本地域のブナの分布域は,後氷期における山地斜面の開析の進行にともなって拡大されてきたと考えられる. 4.ブナが遷急線より下方に分布する原因として,そこで発生する崩壊や土石流が土壌条件や光環境を改善する方向に働く可能性を指摘した.崩壊の発生頻度は地質によって異なり,このことがブナの地質地域による分布の違いに現れていると考えられる.
- 植生学会の論文
- 2001-12-25
著者
関連論文
- 持続可能な地域社会に向けて--地理教育の挑戦(7)地域からESDを考える(2)アメリカ西岸地域の森林管理の事例
- 1997-98年のエルニーニョの長雨がケニア山の新旧の農村に与えた影響
- カスケード山脈ブルーリバー流域における亜高山草原の縮小要因
- 山地生態系の保全の基礎となる植生分布構造の動態的理解
- 遷急線によって規定される山地斜面のブナの分布域
- 百名山の自然学(15)会津駒ヶ岳
- ケニア山周辺の土地荒廃と土地利用変化との関係 (環境地理inアフリカ)
- 遷急線によって規定される山地斜面のブナの分布域
- 植物珪酸体分析からみたルソン島中央平原パイタン湖における過去およそ2,500年間の植生変遷
- フィリピン・ピナツボ火山オドーネル川上流域における植生遷移と土壌性状にもとづく地力回復過程
- 梓川上流域における山地帯上限部のブナの分布と地形
- フィリピン・ピナツボ火山オドーネル川上流域における植生遷移と土壌性状にもとづく地力回復過程
- 植物珪酸体と微粒炭の分析から推定される箱根町仙石原におけるススキ草原の成立過程
- 北アルプス北部における高山湖沼の成因と分布に対する地すべりの影響
- 北アルプス北部における高山湖沼の成因と分布に対する地すべりの影響