日本各地における照葉樹林優占種の開芽時期
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.日本の東北地方から西表島までの17地域の照葉樹林において,シイ属とタブノキ属,コナラ属アカガシ亜属の樹種の開芽時期を調べた.まず,千葉でスダジイとタブノキの芽ぶきの過程を調べた.これを基に,各地で観祭日における芽ぶきの状態からその樹種の開芽時期を推定した. 2.シイ属の開芽時期は,西表島で12月下旬〜1月上旬,沖縄本島で2月中旬〜3月上旬,徳之島で3月下旬,屋久島で3月中旬,大隅半島で3月下旬〜4月下旬,奈良で4月下旬,房総半島で4月上旬〜下旬,宮城県名取で5月上旬〜中旬であった.タブノキ属,コナラ属アカガシ亜属の樹種の多くもシイ属とほぼ同時期に芽ぶいていた.これらの開芽時期は,諸文献の概略的な記録とも一致した. 3.シイ属の開芽は,北ほど遅くなり,南北で約5カ月の時差がみられた。しかし,緯度の増加に対する開芽時期の遅れは北ほど小さかった. 4.日本列島の照葉樹林の優占種群では,気候条件の地域的な違いに対し,種間での開芽の同調性はほぼ保たれたまま,開芽時期が北ほど遅れることが明かとなった.
- 植生学会の論文
- 1997-06-25
著者
関連論文
- 東京都奥多摩地域におけるニホンジカ(Cervus nippon)の生息密度増加に伴う植物群落の種組成変化
- B2 東京都奥多摩地域におけるニホンジカによる植生の変化(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- 植生の復元と在来自然の保全
- Castanopsis sieboldii の開芽時期と温度要因との関係
- オサバグサの生育環境の地域的違いと植生史との関係
- Castanopsis sieboldiiの開芽時期と温度要因との関係
- 日本各地における照葉樹林優占種の開芽時期
- 第13回大会エクスカーションのコースと見どころ
- 奥多摩地域におけるシカの過密度化と植物群落の変化
- ニホンジカによる日本の植生への影響 : シカ影響アンケート調査 (2009-2010) 結果
- シカ影響アンケート調査 : 調査要領と記入ガイド
- 植生学をもっと面白く