明治中期歴史教科書における教育的役割の分担構造 : 自国史による規範的歴史認識の形成と外国史による事実的歴史認識の形成
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概要
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本稿は,明治中期の歴史教科書の内容構造と,そこに課せられていた教育的役割を,特に自国史と外国史を同時に学習する中学校の歴史教科書を分析対象として,実証的に解明することを目的としている。本稿では,明治14(1881)年から明治27(1893)年までの期間を明治中期として捉えた。この時期の教科書において初めて,自国史と外国史に課せられた,それぞれ独自の教育的役割を見出すことができるからである。自国史教科書では,歴史を「伝統」として捉え,選別された人物や事象を通して国民としての資質を育成しようとしている。また,外国史教科書では,歴史を,それ自体として「認識」する対象として捉え,詳細な外国史像,あるいは自国だけを絶対視しない歴史の見方を育成しようとしている。このような自国史と外国史の教育的役割の分担構造が,その後の我が国歴史教育の常態となっていく。その原点を本稿では解明した。
- 2005-03-30
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