中等歴史教育における「政策批判学習」の課題と意義 : 「社会認識体制」の成長の観点から
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概要
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本研究は,中等歴史教育の新しい教授=学習方法論である「政策批判学習」の課題と意義を明らかにしようとするものである。「政策批判学習」では,歴史を,社会的問題を解決しようとした過去の人々の「意思決定」の過程として説明する。一方,「意思決定」を教育課題とする近年の社会科授業論には,「合理的意思決定」を原理とするものがある。そこで,両者の相違を,具体的な授業計画のレベルで分析することにより,「政策批判学習」の特質を明らかにした。比較を通じて,[政策批判学習]は,「合理的意思決定」を原理とする社会科と異なり,生徒に直接「意思決定」をさせることそのものよりも,人々の「意思決定」を規定する「社会認識体制」の中の,「事実認識・判断」を反省的に吟味させることに重点をおいていることを明らかにした。その吟味を通じて,間接的に生徒自身の「社会認識体制」を成長させ,将来の彼自身の「意思決定」を合理的なものとするように努めることに,「政策批判学習」は課題と意義を見いだしている。
- 日本教科教育学会の論文
- 2002-09-30
著者
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