大正自由教育期における「文化科」の開発 : 鳥取県成徳小学校の総合的特設教科の実践
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概要
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本稿の目的は,明治末から昭和初期にわたる大正自由教育期に,鳥取県の成徳小学校で開発,実践された総合的特設教科「文化科」の特質を解明することにある。検討の結果。「文化科」の特質として次の3点を指摘した。(1)小学校令施行規則改正に示された教科課程の枠組みに沿うために,小学校1年から6年までの6年間,国語科の1時間が文化科に充当されていた。(2)国語科の時間を用いるため,成徳小で独自に作成した3つの教科書,低学年用『新読本』,中学年用『三郎の旅行』,高学年用『倉吉郷土読本』を主教材としていた。(3)文化科実践の実態は,6年間を通して3つの段階を経ながら具体化を図っていく郷土文化環境学習であったが,理念的にはドイツ文化科における教科教育の総合化の考え方をもとにした総合的文化環境学習が指向されていた。
- 日本教科教育学会の論文
- 2000-06-30
著者
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