福祉原理の根源としての「コンパッション」の思想と哲学
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概要
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本論文では,コンパッション(compassion)の思想を検討する.コンパッションは,これまで社会福祉界では,啓蒙的な意味のスローガンのように主張されることはあっても,十分に学術的に議論されることはなかった.本論では,感傷的主張を排して,その概念を語源的,哲学思想的に議論を展開する.まず語義およびルソーの自然感情としての議論,ニーチェの「同情の禁止」という批判を取り上げる.そのうえでキリスト教思想がコンパッションをどうとらえているのかについて,古典ギリシャ語のスプランクノンσπλαγχνον「腸がちぎれる想い」という概念にその語源を求め,特にヘンリ・ナウエンの「弱さ」とコンパッションの先駆的研究を吟味する.そして現代におけるアレントのコンパッション論を検討したうえで,最終的にコンパッションが閉じられた関係ではなく,開かれた公共空間という場所のなかで位置づけられる意義を主張する.以上により,コンパッションを福祉原理の根源として位置づけその意義を検討する.
- 2005-11-30
著者
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