主観的QOLの多様性 : ギルド理論によるQOLの多様性の解明
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概要
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本稿の目的は,ギルド理論とギルド理論から演繹される主観的QOLの多様性モデルを定式化することである。ギルド理論は,環境において各個人の欲求資源の利用パターンが異なると仮定する。すなわち,すべての個人が同じ欲求資源を希求・利用するわけではなく,ある個人がある1種の欲求資源を希求・利用する一方で,ほかの個人は複数種の欲求資源を希求・利用するのである。よって,ギルド理論から演繹されるQOLの多様性モデルは,自身が希求する欲求資源が充足されるほど,個人は高いQOLをもつという結論を導くのである。既存の心理学的アプローチは,個人の欲求資源の利用パターンの多様性によって観察対象の母集団を定義することはなかった。本稿で定式化を試みる,ギルド理論とQOLの多様性モデルは,観察対象の母集団の再定義,グループの分類の方法論に,環境における欲求資源の利用パターンの差異という新しいアプローチをもたらす。本稿では,ギルド理論とQOLの多様性モデルを詳しく概観するとともに, QOL研究への具体的な適用方法についても述べる。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2002-08-31