高齢者虐待への福祉的介入・援助の有効性と限界 : 愛知県下の在宅事例の現状を手がかりに
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概要
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本研究は高齢者虐待の事例について,保健医療福祉職の援助者によりなされた援助の内容と事例の状況変化を調べ,現行援助による高齢者虐待緩和の有効性と限界を明らかにする目的で行った。調査対象は,愛知県下で在宅の高齢者に援助を行う2種類の機関177ヶ所が過去3年間に扱った95事例である。分析の結果,虐待事例には援助目標の評価以前に目標自体を設定するのが難しい事例があること,援助を行っても特に状況が変化しない事例が全体の26.3%を占めていること,それらは状況に応じきめ細かく援助がなされている事例にも見られることが明らかになった。これらの結果から,援助者の関わり自体が問題緩和の萌芽になり得ており,虐待の「状況に適切に対応」してその悪化をくいとめているが,それが必ずしも根本的な「問題解決」としては有効に働いていない状況もあることが示唆された。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2001-03-25
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