フレーム種別推定を用いたパケットレイヤ映像品質推定法(ネットワーク)

概要

論文の詳細を見る
近年,IP網を用いた映像配信(IPTVサービス)が盛んである.快適な品質でIPTVサービスを提供するためにはユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)の監視が重要である.サービス提供中に発生するIPパケット損がユーザ体感品質に与える影響を監視するためには,損失したIPパケットが属する映像フレーム種別を考慮した客観映像品質推定技術(無効フレーム手法)の適用が望ましい.しかしながら,IPTVサービスでは符号化ビットが暗号化されていることが多く,映像フレーム種別を読み取れないことが課題となっていた.本論文では,暗号化されたIPTVサービスにおいて,映像フレーム種別を推定する手法を提案する.提案法では,暗号化された映像符号化情報を用いず,暗号化されないTSヘッダ情報を用いてフレーム区切り位置を判定し,その後,フレーム種別ごとにデータ量が異なる特性をもつことを利用してフレーム種別を推定する.提案手法を複数のエンコーダに適用した際のフレーム種別推定精度を検証した結果,90%以上の正答率でフレーム種別が推定できることを示す.また,フレーム種別推定誤差が映像品質に与える影響を評価した結果,品質推定誤差は非常に小さく,実用上問題ないことを示す.
2011-01-01