文構造の複雑さが日本語学習者の内容再生に与える影響
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概要
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本研究では、上級の日本語学習者と、日本語母語話者を対象に、日本語の説明文における文構造の複雑さが内容再生に及ぼす影響について調べた。埋め込み節で統語的複雑さのレベルを操作した複数の説明文を与え、筆記による内容再生タスクを行った。複雑さのレベルは、1文当たりの従属節を基準として3つに分けた。量的分析の結果、学習者と母語話者共に、再生率において複雑さ条件による有意差は見られなかった。しかし、再生率の低い学習者では、複雑さ条件によって質的な違いが観察された。最も複雑な条件では、一文一文の理解には成功したものの、説明文全体を通しての理解は結束性に欠けていた。また、最も複雑でない条件では、明示的に提示されていない情報を推論によって補うことができない傾向が見られた。
- 神田外語大学の論文