瀬戸内海の伊予灘および大阪湾で採取された魚類の炭素・窒素安定同位体比
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概要
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瀬戸内海(伊予灘,大阪湾)で採取された魚類のδ^<13>C,δ^<15>N値を測定した.特に,伊予灘で採取されたマダイ(Chrysophrys major)のδ^<13>C・δ^<15>N値からマダイの体内での炭素・窒素のターンオーバータイムを評価した.また,大阪湾および伊予灘で採取された魚類のδ^<13>C,δ^<15>N値から見た特徴について議論を行った.1995年9月11日に放流したマダイのδ^<13>C,δ^<15>N値が,放流後約1ヶ月間で天然魚とほぼ同じ値となった.これらの結果から,マダイの体内での炭素・窒素のターンオーバータイムは,1ヶ月以内であると推測された.大阪湾で採取されたカタクチイワシ(Engraulis japonica)とマイワシ(Sardinops melanosticta)のδ^<13>C・δ^<15>N値は(マイワシ:δ^<13>C=-15.8‰,δ^<15>N=13.8‰,カタクチイワシ:δ^<13>C=-15.9‰,δ^<15>N=13.7‰)それぞれほとんど同じ値であったことから,同じ栄養段階であることが予想された.今回採取された魚類のδ^<13>C,δ^<15>N値から,魚類の栄養段階を推測するにはいたらなかった.今後,植物プランクトンの増殖速度による効果,漁業生産に及ぼす炭素源としての海草類および海藻類の重要性等,検討を行う必要がある.
- 2002-02-22
著者
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