教育内容編成における教師の権利と子どもの発達保障
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概要
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本稿では,まず,教育課程・教育内容編成における教師の権利が近年の教育政策においてどのように扱われているかについて分析する.具体的には,教育課程政策のキーワードである「大綱化」「弾力化」「現場主義」といった用語の内実を批判的に検討したうえで,こうした用語から想像される「教師の裁量権の拡大」とは逆行する政策動向である「学校評価」について分析する.とくに,非教育的な評価項目の設定,特定の実践手法・子ども観のおしつけ,教師と保護者・地域住民との間の不適切な関係の強要,といった点が批判的に論じられる.こうした動向に対峙していくヒントとして,後半では,1966年の「教員の地位に関する勧告」と,その不遵守を是正する2008年のILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART)勧告をとりあげ,子どもの発達を保障するための教育内容編成における教師の権利についての原則的な論点を提起する.
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