自航時の動揺試験
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概要
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大型タンカーの様な肥えた大きな船ではビルジ部分自身相当な横揺減衰力を有する上に船に対する波の相対大きさが小さく一般に航走時では更に減衰力を増すからビルジキールは無くても横揺性能上は差支えなく,又ビルジキールの無い方が船体抵抗上も摩擦面積が少くなるので有利であろうと考えられて来た。所が三菱長崎造船所で建造された大型タンカーでビルジキールの無いものの航海中の横揺が相当に大きいらしい事が判つたので,大型タンカーに対するビルジキールの効果について模型試験により調査を行った。実験は同型船にビルジキールを装備したものと装備しないものとがある32,800D.W.T.タンカーを対象として停船時横揺試験,平水中自航航走時横揺試験(推力,トルク,プロペラ回転数計測を含む)を行った。その結果(1)ビルジキールを装備しない場合の停船時の横揺減衰性能は予想以上に悪く,ビルジキールを装備しない普通の船の基準値(N_<10°>=0.012〜0.015)に比べ1/2〜1/3の程度であつた。(2)航走時の横揺減衰性能もビルジキールを装備しない場合には停船時に比べて満載状態では殆んど増加せず,バラスト状態でも1.7倍となるに止つた。(3)ビルジキールを装備した場合の横揺減衰性能は著しく向上し,これをビルジキールを装備しない場合と比べると,停船時に於ては満載状態で約3倍,バラスト状態で約4倍となつている。又ビルジキール自身の横揺減衰効果は,航走時に於ても阻害されていない。(4)横揺が推進性能に及ぼす影響(抵抗,馬力の増加等)は無視出来る程度に小さい。(5)ビルジキール装備による推進馬力の増加は摩擦面積の増加にも不拘極めて少い。この事は当場で実施した他の大型タンカーについても共通している。(6)以上の結果,大型タンカーに於ては横揺減衰性能上ビルジキールの装備は必要と認められる。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文
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