船首尾に推進器を有する四軸自動車航送船の水槽試験
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概要
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下関造船所建造の前後対稱四軸自動車航送船の計画に当り、本船は船型並びにプロペラ設計の良否に依つて推進性能に相当の開きが生ずる事が予想され、且つ此の種の資料が殆んどなかつたので三菱長崎試験水槽に於て一連の試験研究を行つたが、此等の中主として船首プロペラ影響に関しては次の如き結論を得た。1.船首プロペラ固定は遊転其の他に比べて馬力増加が相当に大きく実用に適しないが遊転の場合はプロペラを適当に設計すれば馬力増加は比較的少なく、本船の場合満載定格馬力にて17%程度である。2.船首プロペラを遊転回転より稍高い回転数、小馬力で駆動する事に依り船首プロペラのための馬力増加を減らす事が出来るが、その量は少なく利得は小さい。而して更に大馬力で積極的に駆動する事は船首プロペラ後流に依る抵抗増加並びに伴流減少に依る船殻効率の低下等のために不利である。3.船首プロペラのために船尾推進プロペラは可なり影響を受け、前方プロペラのない場合に比べて。推力減少率tは遊転の場合には大差ないか、固定の場合に少しく減少する。伴流係数Wは遊転の場合 に可なり大きく、固定の場合には最も大きい。推進器効率比Erは遊転、固定の場合共前方プロペラなしの場合と大差ない。4、船首プロペラの船体干渉t_f W_fは船後プロペラの場合と可なり異なり.且つ回転に依つて相当変化し推力減少率t_fは船後プロペラの場合より非常に増加し、伴流係数W_fは少しく減少する。尚、此等の水槽試驗並びに公試運転の成績に依り、本型式の自動車航送船にあつても船型プロペラの設計を適当に行えば推進性能を左程悪くせずにしかも、使用に非常に便利な船型となし得る事を確認した。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文
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