飼料イネの省力低コスト栽培法の開発 : 2. 不耗起,無代かきの水田に飼料イネを播種した場合の種子催芽と施肥量が生育と収量に及ぼす影響

概要

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稲発酵粗飼料用品種「夢あおば」を用いて,省力で低コストな栽培法を開発するために現行の湛水直播栽培をより簡素化する方法について検討した.ここでは,耕起,代かきを省略した水田(2年目)への播種,また,種子の浸種と催芽,酸素発生剤の粉衣を省略した時の苗立ちや施肥量と収量等との関係,雑草の発生について調査した.苗立ち率は種子を浸漬,催芽した場合には前報よりやや低くなったものの,10aあたり10kgの播種量で充分な苗立ち数を確保できた.不催芽種子の苗立ち率は前報とほぼ同等となり,催芽種子より低くなった.雑草の発生は不耕起,無代かきのために越年したスズメノテッポウが多かった.乾物重(収量)は,基肥N施用量が10aあたり10kgまでの場合,施用量に応じて多くなり,倒伏はみられなかった.また,基肥N施用量が前報と同水準の場合には,乾物重はほぼ同等であり,不耕起,無代かき2年目水田でも減収することはなかった.また,前報同様に水田は機械収穫作業に適する充分な地耐力を示した.以上より,本栽培方法は飼料イネの省力的な栽培となることが示唆され,今後は営農現場での検討が必要である.
日本作物学会の論文
2008-03-31