能率のよい蓄熱水そうの設計に関する二,三の考察
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概要
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筆者らは,さきに蓄熱水そう内における蓄熱過程を,"蓄熱水そうの蓄熱量の解析"において論じた.また蓄熱水そう内の流れの状態を,"蓄熱水そう内における冷水と温水の挙動について"において,可視化により定性的に把握した.以上のことから,蓄熱過程のほぼ大略をつかみ得たので,本報ではこれらの知見を基にして,従来形に改善を加え,能率のよい蓄熱水そうの具備すべき条件と,その具体例について考察した.なお,一般に蓄熱水そうの性能の良否を判断するには,冷凍機や空気調和機を含めたシステムとして考える必要があるが,今回は蓄熱水そうのみに限定して述べた.検討の結果,つぎのことが判明した.すなわち,能率のよい蓄熱水そうを設計するには,その各そうがつぎの条件を満たしておればよい.1)死水領域が極力少ないこと2)そう内の流れを好ましい順に記すと,押出し流れ,押出し流れと混合流れとの併存,完全混合流れとなる3)そう数が多い場合は,押出し流れと混合流れとの併存,または完全混合流れでもよい以上の観点に立ち,能率のよい蓄熱水そうの設計例について考察すると,つぎのように言える.1)各隔壁の近くに方向変更壁を設けたものこの形式の中には,改良もぐりぜき(堰)式蓄熱水そうも含まれる.本形式のものは,流量の大小や水深の如何にかかわらず能率は最もよく,優秀である.2)連通管1個を各隔壁に順次上下交互に,かつ平面的にも千鳥形に配置したものこの形式のものは,上記1)項のものに比べて構造が簡単で,実際にも広く用いられている.能率の点からみれば,流量が大なるときは水深の如何にかかわらず優秀であるが,流量が小なるときは水深を浅くする必要がある.
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 1976-06-25
著者
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