マツノザイセンチュウ接種クロマツ組織の壊死過程における電解質漏出現象
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概要
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植物体はストレスに対し,その負荷の程度に応じて細胞膜の透過性を変化させる.本研究では,マツ材線虫病に感染したクロマツ組織の壊死過程における細胞膜の透過性の変化を調べるため,マツノザイセンチュウを接種した当年生切り枝及び3年生菌の電解質漏出とDAPIにより染色される細胞核を観察した.切り枝では,接種6日後から電解質が異常に漏出し始め,その後線虫数の増加とともに増大した.木部では細胞核の染色性低下に先んじて異常漏出が引き起こされる傾向が認められた.一方,苗木では,接種を行った枝で接種15日後にすでに線虫が著しく増殖していたにもかかわらず,20日後まで漏出異常は見られず,30日後以降細胞核の染色性がほとんど失われたサンプルのみ電解質が異常漏出し,切り枝とは異なるパターンを示した.苗木の接種試験では,接種枝のみ針葉の変色を示したことから,病徴の進展が緩やかであった点が電解質漏出の発生パターンに影響を与えている可能性が示唆された.
- 樹木医学会の論文
- 2006-03-31
著者
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